校長挨拶

ご挨拶

茨城県立水戸南高等学校長 平野 泰博

 茨城県立水戸南高等学校は、定時制(夜間制)、通信制の課程で、昭和46年に開校しました。その後、平成3年より、定時制(昼間制)、定時制(夜間制)、通信制の現在の3つの課程となっています。それぞれの課程に特徴があり、生徒それぞれの事情に合わせて学ぶことができます。中学校や他の高校で未完成だった学習を学び直したい人、昼間働いて夜に学びながら高校生活を送りたい人、職業人として働きながら高校卒業の資格を習得したい人など、全日制の高校とは異なった方法で800名以上の生徒が在籍しています。そうした生徒が激変する今後の社会で自立していくためには、基礎的な知識や技能だけでなく、思考力や判断力、コミュニケーション能力を身につける必要があります。進路の希望も多様化し、生徒の個性の伸長が求められる時代において、学業の面ばかりでなく、社会的自立に必要なソーシャルスキルの習得やコミュニケーション能力の醸成を行うべくさまざまな取り組みをしています。

 単位制の学校ですので、学習を積み重ね74単位を修得すれば卒業できます。4年間で学ぶことが基本ですが、3年間で卒業している生徒もいます。自らのライフスタイルを大切にし、自分のペースで学ぶことができます。単位制と学年制を併せている高校では、年間で決められた単位を一定以上取得できなかったらもう一度やり直しとなりますが、本校は足りないところに目を向ける「引き算」ではなく、できたものを積み上げていく「足し算」の学校です。そのため、次の年度にどの授業を受講するかという履修登録については、一人一人数ヶ月の時間をかけてオーダーメイドで行います。多くの生徒が中学校からの新入学ですが、転入学・編入学で本校に在籍している生徒もいます。それまでの他の高校で取得した単位ももちろん「足し算」になります。検定試験や高卒程度認定試験の結果も単位として認定しています。

 生徒の皆さんはそれぞれ個性があり、得意なことや好きなものがあります。静かにじっくりと本を読むのが好きな人、身体を動かしてスポーツで汗をかくのが好きな人、友人とゲームに興じて楽しい時間を過ごすのが好きな人、おいしいお店を探して食べるのが好きな人、ファッションやメイクに興味があっておしゃれをするのが好きな人など、個人の興味関心はさまざまです。水戸南高では、生徒一人一人の持つ特性を大切にして、皆さんのよいところを伸ばしていく個に応じた指導を行っています。 学習の面では1年次では、国語・数学・英語の授業は学力別にクラスを編制して、勉強が苦手な人は基礎基本から丁寧に学び直しをし、上級学校への進学を目指す人は受験に対応できる学習をします。受験対策の課外授業も行っています。2年次以降は、それぞれの進路に応じて、受ける授業を選択していきます。

 高等学校という新たな環境に不安を感じる人もいるかと思います。仲良くしていた友人と離れて別の高校に進学することに寂しさを感じるかもしれません。人は、誰でも「困った」が起こります。そのようなときに、相談できる場所が充実していたら、その人にとっては救いになり、周りの人にとっても安心が生まれます。スクールカウンセラー、社会人相談員、キャンパスエイド、学習支援員、心理士の資格も持つ専門的教員、通級指導など、さまざまな「困った」に気軽に笑顔で明るく対応できる体制があります。このセーフティネットがあるために、学校全体の学習環境に安心感が生まれています。

 高等学校は一度卒業してしまうと、もう入学することはできません。人生で一度きりの高校生活です。自分に合った環境で、これからの人生の糧となる学びと経験を水戸南高で過ごしてみませんか。皆さんのおいでをお待ちしております。